ANAウインドサーフィンワールドカップ横須賀・三浦大会は、様々な民間企業・競技団体等の皆様に支えられて、また地元からも運営ボランティアとして多くの方に応援していただきながら開催しています。
2017年に日本で24年ぶりの開催をして、コロナの影響を受けながらも、今年で第7回を迎えることができ、地域活性化として、新たなお土産開発や個人のキャリアップに役立つなど、少しずつその成果が見えてきています。
今回、大会開催に関わっている関係者をインタビューしましたので、大会をきっかけとした地域活性化の様子をご紹介します。
「取材:2024年大会」
ワールドカップ会場となる津久井浜海岸のすぐ近く、長沢にカシュカシュ洋菓子店があります。ワールドカップでは、地元の北下浦観光協会の一員として、会場内でお菓子等の販売をしていて、横須賀らしい国際色が豊かなこの大会を毎年楽しみしています。
2023年のワールドカップ開催時に出店された北海道中標津町の乳製品が大変好評で、その乳製品を地元(横須賀)の菓子職人とコラボできないかとのお声がかかり、開発する運びとなりました。
このお菓子は、横須賀で開催されたウインドサーフィンワールドカップでめぐりあった中標津のチーズと横須賀のパティシエ、ウインドサーフィンとのコラボ商品です。「北からの風に乗ってあなたのもとへ」をコンセプトにして北海道の大自然の中で育った牛のチーズが、横須賀のパティシエの手でおいしいお菓子になり、そしてお客様のもとに届く。そしてそこにはウインドサーフィンというスポーツがその中心にあるというストーリーです。
ウインドサーフィンのボードに見立てた細長いカップの中には、中標津の芳醇なゴーダチーズを贅沢に使用した口溶けのいいチーズケーキ。パッケージは地元在住の絵本作家である砂山恵美子先生の書き下ろしで、牛がウインドサーフィンをしている様子を描いた可愛らしいデザインになっています。
カシュカシュ洋菓子店の店頭で販売していますので、皆様のお越しを心よりお待ちしています。
「取材:2024年大会」
さかくら総本家は、1891年創業の横須賀市内に店舗を構える和菓子屋です。津久井浜にあるウインドサーフィンスクールTEARSさんとは、私が30代前半の時からスクール生としてお世話になっていて、かれこれ20年以上のお付き合いになります。ワールドカップが開催されるとき、TEARSさんからのお声掛けで、津久井浜近辺の飲食店で結成されたウインドブルーという会に参加し、ウインドサーフィンにちなんだお菓子を販売させて頂きました。その後、地元を盛り上げたいというTEARSオーナーの話を聞き、私自身、ウインドサーフィンをやっていたということもあり、地元企業として何か協力出来ないかとの思いがありました。
今回のコラボ商品は、2023年のワールドカップ開催時に出店された北海道中標津とのご縁があり、今年の夏から関係者がTEARSさんに集まって、食材の試食会や意見交換会を繰り返し商品開発を進めました。
個人や会社単位で出来ることは限られますが、少しでもウインドサーフィンの魅力をお伝え出来ればと思います。競技人口はまだまだ少ないですが、子供から大人まで楽しめるスポーツですので、観るだけでなく、実際に津久井浜の海で体験して欲しいです。
このお菓子は、葛(くず)を使用した和スイーツで、今年の夏からの新商品【KUZU】(水まんじゅう)をウインドverとして、中標津の【なかしべつ牛乳】を使ったコラボ商品です。
中標津の牛乳を葛と混ぜ合わせ、加熱、冷却を行い、のどごしの良いつるっとした食感のスイーツを作り上げました。【KUZU】は冷やして食べて頂くのが一番美味しいですが、冷凍状態のままシャーベットとして召し上がるのもおすすめです。
店舗では、牛乳味がベースの通常味とマンゴー味の二種類を販売していますので、皆様のお越しを心よりお待ちしています。
「取材:2025年大会」
「POST STATION×YOKOSUKA OUTDOORS」は、久保木さんと原さんがウインドサーフィンワールドカップの地元応援団として活動する中で、地域の魅力やマリンスポーツの楽しさを広めたいという思いから誕生しました。大会をきっかけに、地域とマリンスポーツ、さらには地元と外から来る人々をつなぐ拠点として、多くの方に親しまれています。
今回のインタビューは、ウインドサーフィンワールドカップを縁に深まった二人の絆、そして地域に根差しながら新たな出会いを生み出す施設としての歩みや思いを探るため、インタビューを行いました。
久保木さん: これまで多くの方にお世話になってきたので、その恩返しとして、地域の皆さんが集まれる場所を作り、地域を元気にしたいと考えて事業を始めました。また、原さんがマリンスポーツに詳しいので、その力も生かして地域の特長を生かした交流の場をつくりたいと思ったのもきっかけです。
原さん: 私は東京で会社員をしていましたが、マリンスポーツを長年続けてきました。これまでの経験を生かし、地域を盛り上げる活動に関わりたいと思い、久保木さんの取り組みに参加しました。
久保木さん: 観光協会に関わっていたことから「横須賀市で大きなマリンスポーツの大会が始まる」という話を耳にし、地元として何かできることはないかと思ったのがきっかけです。せっかく北下浦地区でこんなに素晴らしい大会が開かれるので、地元の人たちがどうすれば一緒に楽しめるか、どうやったらおもてなしができるかを考えながら参加するようになりました。地域のみなさんにとっても、思い出に残る大会になるよう少しでも力になれたらと感じています。
原さん: 私は以前からJWA(日本ウインドサーフィン協会)の強化委員をしていたこともあり、その流れで大会の運営にも携わるようになりました。このお店を始めてからは、より地元とのつながりを意識するようになり、今は地域代表として大会やイベントに参加しています。地元の魅力やウインドサーフィンの楽しさをたくさんの人に伝えられたら嬉しいです。
久保木さん: お店を始めてから、いろいろな方が声をかけてくれるようになり、マリンスポーツ未経験の方から「どうやって始めればいい?」と聞かれることも増えました。子どもたちの参加がきっかけで、ご家族も含めて地域のつながりがどんどん広がっているのを実感しています。こうした輪がこれからも続いてほしいと思っています。
原さん: 昨年は地元の有志の方が積極的に応援やサポートに参加してくれるようになり、ボランティアの方たちにもウインドサーフィンの魅力が伝わったと感じています。直接説明することで理解が深まったり、大会の見方が変わったと言われたりと、地域の方々の関心や関わりが以前より広がっているのを実感しています。これからもっと地域の輪が広がれば嬉しいです。
久保木さん: 商店街のお店も大会に合わせた商品を作るなど、地域全体が一体となって盛り上がるようになりました。また、これまでマリンスポーツに関心がなかった方々も、その可能性に気付き始めているのが大きな変化だと感じています。今後は、その可能性をさらに広げていきたいです。
原さん: 津久井浜はもともとマリンスポーツに適した場所ですが、ワールドカップの開催でその魅力が広く知られるようになりました。地元の方も「実は素晴らしい場所なんだ」と再発見してくれています。今後は子どもたちも含め、地域にさらにマリンスポーツが根付いていくこと、そして海外からも多くの人に訪れてもらえることを期待しています。
久保木さん: やっぱり、まずは自分自身が楽しみながら関わることが一番大事だと思っています。無理せず、地域の行事やイベントを楽しむ気持ちで参加していただけたら嬉しいです。 一日限りのボランティアであっても、そこで新たな人と知り合ったり、友だちができたり、人間関係が広がることで、地域全体もどんどんよくなっていくと感じています。 せっかくこうしたチャンスがあるので、ぜひたくさんの方に気軽に参加していただきたいです。
原さん: 本当に、久保木さんのおっしゃる通りだと思います。それに加えて、ウインドサーフィンのようなマリンスポーツの素晴らしさに実際に触れられる絶好の機会でもあるので、ぜひ多くの方にウインドサーフィンを体験してもらえたらと思います。 ボランティアも気軽な気持ちで参加してもらえれば、きっと新しい楽しみが見つかるはずです。
久保木さん: これからもマリンスポーツをはじめとした様々な活動を通じて、地域の魅力を発信していきたいです。自然を大切にしながら、地域のみなさんが楽しめる場をもっと増やしていければと思います。
原さん: 世界大会が続くよう願っていますし、将来的にはSUPやウイングフォイルなど他のマリンスポーツの大会も横須賀で開催できたら嬉しいです。「横須賀はマリンスポーツの国際大会が集まるかっこいい町」として、多くの人に注目される場所にしていきたいです。
お二人の前向きな取り組みが、地域のつながりや活力を生み出しているのが印象的でした。ウインドサーフィンワールドカップは、スポーツイベントとしてだけでなく、地域の新たなチャレンジや絆、希望につながっていることも感じました。これからも横須賀・三浦エリアが多くの人々を惹きつける街へと発展していくことを期待しています。お二人の今後にも注目です。
「記事作成:2025年大会」
当初、津久井浜海岸のみで開催されていた本大会は、2019年には、隣接する三浦海岸をサブ会場とし、主にフラダンスのギネス挑戦やビーチスポーツ体験などが楽しめるエリアとして活用されました。
また、これを機に大会名称も、「横須賀大会」から「横須賀・三浦大会」へと変更されました。
2023年の大会からは、ウインドサーフィンの実物や過去の大会の写真パネルを展示し、セイルの大きさやレースの迫力を通じて、大会をより身近に感じていただけるような取組を行いました。
2024年の大会では、前年の取組に加え、三浦海岸の飲食店で大会チラシを、会場で三浦海岸の飲み歩きイベントである「三浦海岸バルウォーク」のチラシを配架するなど、三浦海岸のまち全体で大会の盛り上げに一役買いました。
大会開催中は、海上の状態をチェックするため地元の漁協が船を出すなど、大会のサポートも欠かしません。
秋の風物詩である本大会・・・今年も楽しみです。